たんぽぽ娘ジュリーは、主人公が森の丘を散歩しているところに現れて、挨拶すると「おとといは兎をみたの。昨日は鹿。今日はあなた」とつぶやきます。物語の構成上、SFの形をとっていますが私は主人公の幻覚だったような気がしました。
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」では離婚した主人公が精神科を訪れてアルコール依存のセラピーを拒絶して分裂して地球が宇宙人に侵略されていると妄想したように描かれています。突飛な設定に引き込まれましたが、文中にヘミングウェイの至言を引用して酒飲みの主人公の弁護をする部分があります。私の中ではXbox360のゲーム「オブリビオン」中でエールを飲むと「魅力」ステータスが下がる設定に妙に納得しており共感できませんでした。
その他の短編も興味深く、ヤングの独特な世界観に浸れることでしょう。